(5月19日、広島市)本日より21日まで開催されるG7広島サミット首脳会合に向けて、G7公式エンゲージメントグループであるCivil 7(市民社会、C7)が定例記者会見を開催、5月13-4日に新潟市で開催されたG7財務大臣・中お銀行総裁会議および、長崎市で開催されたG7保健大臣会合でそれぞれ提出された大臣会合宣言および関連文書について問題提起が行われました。
C7では政策提言書を作成するために「核兵器廃絶」「気候・環境正義」「公正な経済への移行」「国際保健」「人道支援と紛争」「しなやかで開かれた社会」の6つのワーキンググループが構成され、72ヵ国(うち54ヵ国はグローバルサウス)から700名以上が参加し、議論しました。今回記者会見では、そのうち「公正な経済への移行」「国際保健」の2つのワーキンググループの代表が参加しました。
C7で途上国の債務問題についての提言を取りまとめた特定非営利活動法人アジア太平洋資料センターの内田聖子氏は、途上国の債務問題が新型コロナウィルスによるパンデミックによる経済の落ち込みから、10年前に比べて2021年時点での債務が倍増したことを紹介し、「当事国の課題ではなく、金融危機が起きたら芋づる式にすべての国に派生する。債務取り消し、債務返済を持続可能な返済が可能になるように編成する必要がある」と指摘しました。
財務省会合では残念ながら債務返済に踏み込んだ取り組みが見られなかった、とし、内田氏は「喫緊の課題である債務問題が解決に進むことではない」としたうえで、首脳会合で財務相会合の決定より踏み込んだ取り組みへの期待を寄せました。
「国際保健」ワーキンググループからは特定非営利活動法人アフリカ日本協議会の稲場雅紀氏が登壇しました。WHOが新型コロナウィルスの収束を宣言し、国内でも5類以降が進む中、感染症において先進国と途上国の間でワクチン接種をめぐる格差が生じていることが指摘されました。
「次のパンデミックが生じないためにグローバルな枠組みが必要だが、ワクチン供給とワクチンの知的財産権をめぐり、G7を含むグローバルノースとグローバルサウスの分断が生じている。昨年パンデミック対策のためのパンデミック基金が設立されたが資金拠出は十分ではない。G7として具体的にどう貢献するのかは残念ながら明確に出されているわけではない」として、G7が分断を解消させる具体的行動を示す必要性を指摘しました。
質疑応答では、広島を訪問することが明らかになったゼレンスキー・ウクライナ大統領の訪日について質問が挙げられました。C7共同議長である特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン事務局長の木内真理子氏は、大統領の訪日が議論の進展につながることへの期待を示しつつ「ウクライナ紛争は食料危機も引き起こしている。紛争の直接の当事者でない人にも影響していることを意識してほしい。また、ウクライナ紛争だけではなく、ニュースにされていない紛争があること、その結果多くの人に影響を及ぼしていることを意識する必要がある」と指摘しました。
また、次のパンデミックに向けてパニックを引き起こし、その後鎮静化に伴いパンデミックを忘れてしまう「パニック&ネグレクト」に関する質問で、稲場氏は、「今後感染症パンデミックが引き起こされる可能性が高く、『パンデミックの時代』といわれる。パンデミックの鎮静化に伴いパンデミック条約などはメディアで報道されていない。ぜひ報道を通じてより多くの人に知ってほしい」と訴えました。
■以下のURLから、「C7コミュニケ」(政策提言書)全文を公開しています
/wpC7/wp-content/uploads/2023/04/C7_communique2023_0412.pdf
【C7について】
G7には、「エンゲージメントグループ」と呼ばれる、政府とは独立したステークホルダーにより形成される各グループが存在し、G7で議論される関心分野について、G7の成果文書に影響を与えるべく政策対話や提言を行います。Civil Society 7(通称C7)はこのエンゲージメントグループのひとつで、市民社会により組織されます。毎年、議長国の市民社会が中心となって、G7国のみならず、G20諸国や開発途上国等の市民社会と協働しながら提言をまとめ、G7に向けて発信します。詳細はホームページ(英語)をご覧ください:/
【G7市民社会コアリション2023について】
G7市民社会コアリション2023は、2023年に日本の広島県で開催されるG7サミット首脳会議および関連閣僚会議に、市民社会の声が反映され、2030アジェンダが掲げる「誰ひとり取り残さない社会」の実現に貢献できるよう、議長国である日本政府を含むG7各国政府に働きかけるためのプラットフォームです。詳細については以下のホームページやSNSをご確認ください。